エコツアー・ドット・ジェイピー









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オランダ留学通信

 第6回 

カイコウラ
イルカと出会い癒された町

カイコウラ
upload:2005.04.21


このイルカの群れの中へ……。


 この町カイコウラ(カイクーラ)を訪れたのはニュージーランド生活3カ月目。当初住んでいたネルソンを離れ、次の居住地を探して移動する途中にふらっと立ち寄ったのがきっかけでした。ここでまさかこんなにグッサリ心をつかまれるさまざまなことに出会うなんて……。
 出来事はいつも人との出会いから、何かが始まります。


エクスチェンジで宿泊延長

 この町の簡易宿泊施設バックパッカーズホステル(以後バッパー)に3泊の予約をし、世界的に有名なホエールウォッチングをしようと思ったのですが、イギリス人のジムに出会ってしまい、なんと2週間もクジラではなく、イルカを待つことになったのです。
 “サザリー”という南方からの冷たい強風のために、ホエールウォッチングはキャンセル続きでした(この後サザリーに何度も何度も悩まされることになったのです)。ジムは12年も旅を続けており、世界中の海でイルカと泳いでいる人でした。その彼が、「なぜカイコウラにいるのにイルカと泳がないの? ここが僕は世界中でベストだと思うよ!」と。イルカと泳ぐために再度ここを訪れていた日本人の女の子からも同じことを熱く聞かされました。
 明日カイコウラを発つ予定だったのですが、サザリーのせいでクジラともまだ対面できない。これはもうイルカとクジラに会うまでここに滞在するしかないのです!


小さな街ににぎやかな壁画。



くじらの絵も。

 しかし1泊あたり約1500円とはいえども私には3泊以上延ばせない……。そこで、“エクスチェンジ”で、滞在を延長することにしました。
 NZではさまざまなエクスチェンジがありましたが、これは、宿泊施設で何か手伝う替わりに、宿泊部屋を無料で提供してくれるというものです(場所によっては食事などがつく場合もありますが、もちろん無償労働)。私が泊まった“Dusky Lodge”では毎日午前中に2時間程度の掃除が条件でした。
 このバッパーは部屋数も多く、とてもきれいで快適。ところがエクスチェンジメンバー専用の宿泊部屋はすさまじい汚さ……。私の後に来た日本人のえっちゃんは、この部屋を見ただけで帰ろうと思ったと後で話しており、たいていの日本人にはかなり耐え難い状況でした。だけど住めば都^^。


待つこと8日

 イルカとクジラを待つ日々が始まりましたが、サザリーの襲来に来る日も来る日もツアーはキャンセル。カイコウラは海のエコツアーが盛んな町で、世界的に有名なホエールウォッチングの他に、イルカと泳ぐツアー、アザラシと泳ぐツアー、海洋生物を船から見に行くツアー、ダイビングなど多種多様なものが揃っていました。


アザラシのコロニーもあるカイコウラ



アザラシがどこにいるか分かる?


 少しでも風が強いとツアーはキャンセルになり、たいていの人はあきらめて他の町に移動していくのでした。しかもイルカと泳ぐツアーはシーズン真っ盛りで大人気、直前の予約は不可でした。毎日キャンセル待ちの状態で、午後にツアー会社まで行き名前が呼ばれるのを待ち、呼ばれたら翌日に参加できるというものです。
 このときのドキドキは何とも言えません。名前が呼ばれると、キャンセル待ち集団の中から嫉妬の!?拍手が起こるのでした。そして、待つこと8日間。ついに名前が呼ばれました!


カイコウラの浜辺。



緑と海に抱かれた町


イルカの群れの中に私たちが“放される”

 翌日2月20日(金)晴れ。風は強くなさそうだけど、催行かどうかはショップへ行くまで分かりません。午後12時半“Dolphin Encounter”へ。現在イルカと泳ぐツアーをカイコウラで催行しているのはここ1社のみ。しかもイルカと泳ぐ人数がボート1隻あたり13人までと決まっていて、1回につき2隻のボートが出ていました。
 夏は日に3回行われます。船にはイルカと泳がずに観察だけしたい人でも乗ることができ、料金も安くなります。
 ショップへ着くと、みんが準備を始めていて、本当にツアーが催行されそう! 身体に合うウェットスーツ・フィン・マスク・シュノーケルを受け取って身に着け、ブリーフィングです。
 これはビデオで行われたのですが、内容が何だか変でみんなにバカ受けしていました。外国の人は本当によく笑うなあ。ブリーフィングってこんなにウケるものだっけ?と不思議に思いました。ブリーフィングを終えて外に出ると、ショップには今日もキャンセル待ちをしている人々がいて、熱い羨望のまなざしを心地よく感じつつバスに乗り込みました。

 10分ほどで船着場へ。ボートに乗り換えました。サウス湾へ出ると、開けた青い海の背後には美しい山並みが迫っており、それを見るだけでたまらない気持ちになりました。約30分でイルカたちの姿が見えてきました。
 みんなかなりハイテンションです。ボートの最後部は幅広い階段のようになっていて、スムーズに海に入って行くことができます。そこに腰をかけ、いよいよ、海に入る合図を待つ時が来ました。汽笛のような音で一斉に海へ。というよりは、イルカの群れの中に私たちが“放される”という感じ! あとは、目の前に迫るイルカたちに近づいていきました。

 
目の前に迫るイルカ。


 
つるつるピカピカのハラジロマイルカ。


 正直、息をするのを忘れていました。なぜなら、あまりのイルカの数に、もうどうしていいか分からないのです。感動して涙も出ています。平泳ぎのように泳いでいたけど、イルカが真横にいるので思わず手を引っ込めました。身体の真横、真下(シュノーケル上手の人は真上も・・・)をイルカたちが通るので、簡単に触ることができるのですが、触ってはいけないことになっていました。ストレスや病気を与えてしまう可能性があるので。

 イルカの優しい目、美しい体の線、つるつるピカピカの肌だけど決して冷たい感じではないのです。赤ちゃんづれのイルカ、お母さんに寄り添う赤ちゃんイルカ。何となく私達を意識しながらも私たちを特別なものとは思っていない感じ。まるでご近所さんのように通り過ぎていきます。
 音を出したほうがイルカも親近感をもつとブリーフィングで言われていたのですが、シュノーケルを付けているし、思うように声を発することができません。第一、どんな音がイルカに気に入ってもらえるか分からないし! みんなイルカに相手にしてもらえるようにそれぞれが必死の努力をしたに違いありません。私は瞬間的に、なぜか「クルックー、クルックー」。ハトじゃないのに。

 このDusky Dolphin(ハラジロマイルカ)は、時々は人間と遊んでくれたり、たまにはアイコンタクトできるそうです。イルカたちの方がもちろん速いので、しばらく泳ぐと私たちは取り残されます。そうするとまた汽笛の音で船に戻り、イルカのいる所へボートで移動し、またイルカと泳ぎます。それを5回ほど繰り返しました。夏の終わりとは言え、海の水が冷たくて冷たくて、これ以上は体力的に無理だと思うほどでした。

 泳ぎ終わると、デッキでホットシャワーを浴びることができ、温かい飲み物とクッキーが用意されていました。すぐに着替え、次はイルカたちを少し離れた所から見ました。後から聞くと、なんと400〜500頭の群れでした!!! 息が止まるはずです。
 ボートでは、スタッフが熱心にイルカなどの話をしてくれたけど、私はコーフンがおさまらず、イルカのことで頭がいっぱい。帰路、帰りのバスの中で「誰かアイコンタクトとれた?」と尋ねましたが、今回は残念ながら誰もとれなかったみたいでした。

 
泳いだ後にイルカたちをうっとり見守る


 
ありがとう、イルカくん!


 翌朝、隣で寝ていた日本人のさわちゃんに言われました。「天愛さん、夜中の3時から5時にかけて、何度もクスクス笑っていましたよー。ドルフィン効果ですね〜^^」。えっっ!? 寝ている間に笑うヒトがいるなんて聞いたことないし、それが私だなんて……怖いっ!と思いつつ、心身が深く癒されたことに気付きました。


ホエールウォッチングも実現

 それから程なくしてホエールウォッチングにも参加することができました。地元のマオリが経営する“Whale Watch Kaikoura”社です。目立つ色の2階建てのボートにのり、出発します。
 クジラは一度潜ると40分は海上へ上がってこないため、見つけるのはかなり難しそうでした。スタッフが海の中に長いマイクを入れて、クジラの声を探していたのには驚きました。


マイクでクジラ探すスタッフ


 しばらく時間がかかったけどやっとクジラを見つけました! 大きい!! 20メートルほど離れた所から見守るのですが、見守るといっても全体の3分の1程度しか海面に出ていないのです。時々、ゴオーッという音とともに潮しぶきがあがります。そのしぶきは何とも生臭いのです。そして、いよいよ潜水の瞬間です。スタッフが「ほら、もぐるよ!」というと、あの大きな尾ビレを天に向けて、海へとまっさかさまに消えていくのでした。
 ここで見られるクジラは“Sperm Whale”(マッコウクジラ)でしたが、クジラを海で見たのはこれが初めてで、本当にこんな存在がいたんだという、なんだか神がかったものを感じました。深く感動する体験でした。


感動の瞬間!



潮しぶきが生臭いのです・・・



ボートからクジラを見つめる



ホエールウォッチングのボート



船内、ビデオ見せてくれます



ホエールウォッチング当日の朝焼けに心打たれる


 カイコウラは、今回の2週間の滞在を含め計3回も訪れ、私にとってNZで一番好きな町となりました。ここでは有名な伊勢エビを楽しんだり(NZで最初で最後とも言える贅沢な食事!)、素晴らしい星を楽しむスターウォッチングのツアーにも参加し、話は尽きないのですが、ツアーガイドがまさに星の王子さまであったことも最後に付け加えておきます。



***** Mainly FinePrices *****
*Dolphin Encounter*
(URL:www.dolphin.co.nz
料金(イルカと泳ぐ):$115 (イルカ観察のみ):$55
*Whale Watch Kaikoura*
(URL:www.whalewatch.co.nz
料金:$110
*Kaikoura について*
(URL:www.kaikoura.co.nz
**TOTAL:$280**


みなみ てんあい プロフィール
1975年福岡市生まれ。幼少より空想好きな性格。地元で大学を卒業し、まずはホテルへ入社。広報とブライダルに携わる。が、不思議な縁でコンサル会社に転職し、2001年『九州のムラ』という本や人々と運命的な出会いをする。本の販売管理に九州のムラやマチを周る。エコツーリズムに興味をもち、また海外生活を経験したいという小さい頃からの夢の実現に(三十路を前にしての焦りも加担し)、退職してニュージーランドへ飛ぶ。
*『九州のムラ』はこちら


なぜニュージーランドに行くことに?
「九州のムラ」に出会って、エコツーリズムを知る。海外へ行きたいという何の目的もなかった夢に、「エコツーリズム」というキーワードを見出し、なぜか、アメリカとニュージーランドを比較。「同じ金額のお金を持って行くなら、ニュージーランドの方が長く滞在できる!」という安易な理由で、最終的には決定。また、その「小ささ」に惹かれた。

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