エコツアー・ドット・ジェイピー


オランダ留学通信

第11回
世界最古のプラネタリウム

upload:2004.10.29


オランダでみつけた<世界最古のプラネタリウム>。ガリレオもびっくりの仕掛けが、リビングルームに幾つも設置されている。


「何でまた、こんなところに?」
オランダの北の果て、Franeker(フラネカン)という町で<世界最古のプラネタリウム>博物館を発見。フリースランド州という、マイナーな地方にあるせいか、オランダ人でさえあまり知らない穴場中の穴場。18世紀後半に活躍したEise Eisingaアイゼ アイジンガーという人の実家で、地元の友人が案内してくれなければ、気づくことなく通り過ぎていたことでしょう。ところが知名度のなさに反比例して、彼の業績は偉大です。

1774年の春、水星、金星、木星、火星、月の軌道がいっせいに重なる世にもまれな天体ショーが観察されました。とはいえ専門知識に乏しい当時の人々は、楽しむどころか星が衝突するのではないかという不安にかられて右往左往。恐ろしいことに、専門家はこの爆発によって地球は太陽に吸い込まれてしまうだろうと予測したのです。当然ながら、突然の<人類滅亡の日>宣言で、民衆は大パニックにおちいりました。ちなみにこの年は日本で杉田玄白が「解体新書」を発表した年です。

アイゼは、恐怖におののく人たちにわかりやすく天体現象を説明するため、太陽系のモデルをつくることを思いつき、このコンピューターもない時代にたった7年間で自宅のリビングルームにプラネタリウムをつくりあげてしまったのです。プラネタリウムといっても現在の投影型のものではなく、星の位置を正確にわりだす惑星カレンダーと言ったほうがイメージに近いでしょう。実際のサイズの100京分の1、つまり、1ミリが100万キロをあらわすのだとか・・・その他にも日の出日の入り、月の出月の入りの時間を知らせる時計、月の満ち欠けを計る月齢表、季節ごとに星座がどのように変化するのか示すカレンダーなどなど天文学ファンなら、うっとりするような計測器が並んでいます。
驚くことに、これらは現在でも稼動中で、ほとんど誤差がありません。

写真撮影を学芸員にお願いしたのですが、正式な取材依頼書とお金を払わなければ、硬くお断りと言われてしまったので、どんなものなのかはEisinga ファンの非公式サイトの写真をみてみてください。鮮やかなブルーがすばらしく不思議な空間を作っています。
http://www.jusonline.nl/eisinga/(photo galleryをクリック)
http://anw.hml.nl/Werkstukken/Sasja_van_der_Vaart/Eise_Eisinga_planetarium/

博物館の2階に上ると、天井裏に備えつけられたペントラム振り子が複雑な星の軌道計算を行っている装置を見学できます。そもそも望遠鏡や顕微鏡を発明したのはオランダ人、天文学の父といわれるガリレオ・ガリレイも、世紀の発見のために望遠鏡の恩恵を存分に受けたはずです。

このアイゼという人、羊毛業を営む農家に生まれ家業を手伝っていました。父親の影響で、幼少期から数学や天文学に並々ならぬ興味を示し、本を読みたい一心で毎週、何時間も最寄の町まで歩いて通い、ユークリッド幾何学を極めたのです。学歴は小学校卒ですが、趣味が高じて、若干15歳で650ページにものぼる本を書き上げてしまった天才少年だったのだとか。本業の羊毛の染色でも器用ぶりを発揮し<国際羊毛染色コンテスト>で優勝する腕前でもあったのです。
アマチュアとはいえ彼のずば抜けた天文学の知識を周囲の人はほっておかず、とうとう大学に招聘教授として招かれるようになりました。

生家はDronrijp ドロンリップという集落といったほうがいいような小さな小さな村の教会に面した広場にあります。ここはポジティブな磁場が充満していると評判で、現在でもたくさんの人が訪れるそうです。たまたま私の友人が3軒ほど離れたところに住んでいたことがあって、「妊娠したのはそのせいかもね」と人から言われているようです。この友人は、妊娠中に周りが止めるのにも耳をかさず、観光プロジェクトでネパール、タンザニアとかけまわっていた人なので、彼女自身が十分に<氣>を吸い込んでいるのかもしれません。子供は今2歳、どんな風に育つのか今から楽しみです。

フラネカン、ドロンリップともかなり辺鄙なところですが、皆様もチャンスがあればオランダ訪問の際に足をお運びください。天才のインスピレーションにあやかることができるかもしれません。


公式ページ;オランダ語だけど写真に注目
http://www.planetarium-friesland.nl/

同じサイト内(英語で簡単な説明)
http://www.planetarium-friesland.nl/engels.html

プラネタリウム博物館隣のカフェテリア
De Tuinkamer
Tel, 0517-397474
www.nwfriesland.nl/detuinkamer/


▼▼ 写真をクリックすると拡大できます ▼▼


[↑クリック]
9月半ばだというのに晩秋の気配が漂うFraneker。フリースランド冬の風物詩、スケートマラソンで選手たちが回る11の市のひとつ。

[↑クリック]
フリースランドは独自の言語を話し、オランダの中でも異色。フリージアンは誇りが高く、よくいえば独立心の旺盛な人たち、悪くいえば閉鎖的な人たち。 州旗の赤いハートは睡蓮の葉っぱをあらわしている。

[↑クリック]
正面には紛れもなくプラネタリウムと記してある。 1768年に正面部分が改修され、建物自体はそれ以前に建築されているらしい。建物は「こうのとり」というニックネームでよばれており、てっぺん部分に石でこうのとりの文様が刻まれている。

[↑クリック]
日時計は現在でも立派に用をなしている。 インターネットで調べたところ、世界最初の投影型プラネタリウムは20世紀初頭にドイツでカールツヴァィス製(写真機で超有名)のものが誕生したのだそうだ。

[↑クリック]
フリースランド発祥のKeatsen というスポーツの競技場。テニスよりも古く、ゴルフ大の馬の毛を固めたボールで3人一組で相手チームと対戦するらしい。ルールはかなり複雑で実況でなければ説明できないと言われた。

[↑クリック]
プラネタリウムの対面に位置する市庁舎(?)これに見とれていて、かなり大人数の団体客が玄関口に並んでいたにもかかわらず、自分の立っている後ろの建物が博物館だということに気づかなかった。

[↑クリック]
博物館の隣はアールヌーボースタイルのカフェテリア。
[↑クリック]

店内の様子。コーヒーだけではなくお茶もかなり扱っている。壁には中国の古い絵がかかれており異国情緒をかもしている。


[↑クリック]

奥に中庭があってゆったりとお茶やコーヒーを楽しめる。


[↑クリック]

店主。照れくさそうにしていて写真1枚につき10万円とかいわれたけど、目は優しい。


[↑クリック]

Eise Eisingaの肖像


[↑クリック]

この青い色が特色。リビングルームもすべてこの色で統一されている。詳しくは公式ホームページを。


[↑クリック]

歩いて300メートル。“市の博物館”。いくら小さかろうと市制がひかれているので、村とか町とかいうと侮辱になるんだそうです。“シティ”と呼びなさいといわれました。はーい。



るりさんは、「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」というWEBサイトの運営者。世界最大産業である観光が、環境、社会、文化、経済に与える影響とはどんなものなのでしょう? 目からうろこですよ!
「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」を見る


◆オランダ留学通信──これまでの話◆

第1回
第2回
「サンタがやってきた」
第3回
「レジャーで修士号」
第4回
「インターネットと留学」
第5回
「女王様の誕生日」
第6回
「平和調印の街」
第7回
「EURO 2004サッカー夢の競演」
第8回
「マーケットに行こう」
第9回
「オリンピックこぼれ話」
第10回
「<快適住まい>が留学成功の鍵」


Copyright(C) 日本エコツーリズムセンター NATIONAL ECOTOURISM CENTER All rights reserved .