エコツアー・ドット・ジェイピー


オランダ留学通信

第6回
平和調印の町
 


5月5日、ボスニア・ヘルツェゴビナに参戦したような若い軍人たちも
平和を願うパレードに参加します。
戦争は決して過去のものではありません。


森にかこまれ緑したたるワーゲニンゲン(Wageningen)は人口4万、町というより村と呼んだほうがいい、こじんまりとしたのどかな所です。アムステルダムまでは距離にして80kmほど、高速道路を使って1時間くらいかかりますが、ドイツ国境まではほんの35kmほどです。この小さな町に毎年5月5日、第二次世界大戦の連合軍諸国から多くの退役・現役軍人が集まってきて平和を願うパレードが繰り広げられます。というのも半世紀前ドイツ軍がオランダに対して全面降伏の調印をおこなったのがほかでもないこの町だからです。市民は、平和のシンボルであるこの町を誇りにしています。


第二次世界大戦中、オランダはドイツ軍侵攻の恐怖を味わいました。オランダ人を母にもつオードリー・ヘップバーンは戦時中アーネム(Arnhem,ワーゲニンゲンから車で20分)という町に住んでおり、ナチスの残虐非道な行為を日常目にしていたそうです。後年、「アンネの日記」が映画化されるときオードリーにも出演依頼があったのですが、彼女にとってはあまりにもリアルな記憶で引き受けることができなかったというエピソードもあります。

1977年に制作されたリチャードアッテンボロー監督「遠すぎた橋」は、そのアーネムが舞台になっています。若かりしロバート・レッドフォード、ショーン・コネリー、ジーン・ハックマン、ライアン・オニールといったそうそうたる俳優達が出演していた豪華版映画、不朽の名作です。連合軍がドイツ軍を阻止するために行った決死の作戦はノルマンディーの上陸が有名ですが、空挺部隊の万もの兵隊がパラシュートでおりたち、陸上部隊と合流してナチスを挟み撃ちするはずだった「マーケット・ガーデン作戦」もノルマンディー作戦とともに歴史に残る大きな作戦です。

当時、高校生だった友人の父親は、ドイツ軍の強制キャンプに連行されそうになり、他の仲間とともに数年間も森に潜伏して暮らさなければならなかったのです。マーケット作戦が実施された時は、空が見えなくなるほどの落下傘が降ってくる光景を森の中から目撃したそうです。それは大きな花がひらひら舞い降りてくるようで美しくもありながら、同時に、身の毛のよだついいようのない恐怖を感じる眺めでもあったということです。
映画でもそのシーンがでてきますので、機会があればビデオレンタルしてみてください。

奇しくも世界はきな臭い状況です。私がヨーロッパに来て本当に驚いたことは、ヨーロッパの人が国家としてのアメリカをとても嫌悪しているということでした。日本のマスコミは一様にヨーロッパとアメリカを「欧米」と一緒くたにしてしまいますが、全く違う文化圏だということを感じます。たまには形の違う窓から世界を覗くのもよい経験かもしれません。

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「ホテル ワールド: Hotel De Wereld 」このホテルで1945年5月5日、歴史的な平和調印が行われました。
オランダ皇族も式典に出席して、戦死した人々の慰霊を行います。
この碑の近くにユダヤ人の共同墓地があります。(戦争とは無関係)
アンネ・フランクが隠れていた家はアムステルダムにあり、観光施設として一般に開放されています。
はるばる北米からかけつけたカナダ軍がこの町の開放に大きく貢献しました。
平和調印はカナダ軍とドイツ軍の間で行われました。
調印が行われたホテルの前に建つ平和の像
武器を持たない丸腰の無力な一般庶民が、「何故、私たちが卑劣な戦いに巻き込まれ犠牲にならなければならないのですか?」と天を仰ぎ見ているところです。
「ベアトリクス女王のBの文字がはいった花輪」
この国は死者の霊を弔う時に真っ白な花を使うことが多いです。
いつもは静かな町ですが、この日は多くの市民がパレードを見るために集まります。その数15万人といわれています。
昨年は戦闘機も空からパレードに参加しました。
昔はおおがかかりな戦車部隊のパレードなどもあったそうですが、年配の方が増えて年々参加者は少なくなっていきます。そのかわり国連軍が参加するようになりました。
結構なお年を召した方がワンちゃんを連れてパレードに・・・
衆人の注目を浴びていました。
皆さんかくしゃくとしておられます。
年配の人たちにはまだ生々しい記憶として残っているのかドイツ人を嫌う人が多いです。
日本人を嫌う人も多いと聞いていますが、おかげさまで個人的に攻撃をされたことはありません。日本と同じで若い人たちにとっては別世界の話になっています。
パレードはオランダの退役軍人のみならず、ポーランド、イギリス、カナダ、ベルギー、国連軍・・・・様々な国から参加しています。制服と紋章を見ればどこから来ているのかわかるようなのですが・・・・私に聞かないでぇ。
この出で立ち、何だか物々しいですね・・・
ちなみに右手に見える建物が「レジャーと環境学科」の授業が行われているビルです。
海を隔てたご近所さん、イギリスからも・・・


オ ラ ン ダ 耳 よ り 情 報

 
アカデミー賞3部門にノミネートされた「真珠の耳飾りの少女 (girl with a pearl earring)」
http://www.gaga.ne.jp/pearl/top.html
謎に包まれたオランダの天才画家フェルメールと少女モデルの純愛物語。4,5月各都市で公開。


るりさんは、「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」というWEBサイトの運営者。世界最大産業である観光が、環境、社会、文化、経済に与える影響とはどんなものなのでしょう? 目からうろこですよ!
「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」を見る


◆オランダ留学通信──これまでの話◆

第1回
第2回 「サンタがやってきた」
第3回 「レジャーで修士号」
第4回 「インターネットと留学」
第5回 「女王様の誕生日」


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