エコツアー・ドット・ジェイピー


オランダ留学通信

第19回
ゲイ天国って本当?(クラスメイトの消息)

upload:2007.07.28


るりさん、“結婚”(といっていいのかな?)おめでとう!
 「iKiビール」で乾杯だね。


今年はどういうわけか、3カ月の間に2度もゲイカップルのパーティーや結婚式に招待されました。
「そうねぇ。やっぱりオランダだから」と片付けていたものの、周囲の人に話すとほとんどが「えー!?」という反応で決してよくあることではなさそうです。

最初に招待されたカップルはクラスメイトの一人で元ロシア圏からの留学生。物静かで賢く、人柄も穏やかで誰からも好かれている男の子でした。頭がいいだけではなく、卒業してバラバラになった旧友たちの消息など何でも知っているのでKGBとあだ名を持つ彼。オランダが大好きで、語学も一生懸命勉強して生活に困らない程度にしゃべれるようにもなり、何とか居残りを試みたものの、旧共産圏の彼にとってビザの壁は厚く、どうにもままなりません。行ったりきたりを繰り返しながら、とうとう祖国で就職を見つけたもよう。「やっと落ち着いたかな?」と思っていたら、突然「「パートナーシップを取得して、オランダにまた戻る」と連絡がありました。

パートナーシップというのは、いわゆる事実婚のこと。一緒に暮らしているカップル向けのステイタスで、結婚とほとんど同じ権利が与えられます。西ヨーロッパや北欧で見かける制度で、ゲイの結婚が合法化される以前、ゲイカップルにも平等な権利を与えることができるようにと苦肉の策で作られた仕組みなのだとか。離婚にあたり、裁判所で面倒な手続きをとる必要がないのが大きな特徴だそうで、ならばと、普通の男女のカップルでもパートナーシップを選ぶ人が増えているようです。

通常、結婚にあたり、離婚をまず念頭に置く人はいないかもしれませんが、万一の際、煩雑な行政手続きに多大なエネルギーを費やすリスクは誰しも避けたいものです。それに社会生活を営む上で結婚と同等の権利が与えられるのであれば、これで充分ということでしょう。またお互いを信頼しているのであれば、「結婚」という制度に縛られる必要はないというのも大きな理由かもしれません。実は私自身もつい最近、パートナーシップを取得しました。えーっと、相手は女性ではありません(笑)。でも、なんだかしっくりこないのです。

というのも、申請にあたり独身を証明できる書類の提出が求められ、戸籍を取り寄せ、翻訳し、その他諸々のペーパーワークをこなした上、何度も役所に足を運んで、やっとこさオランダ政府から頂けたもの。1年半くらいかかって手に入れた正真正銘の正式な社会的身分です。なのに日本国では「この制度が日本に存在しないので、戸籍上は独身のままでOKです」という具合。なんだか宙ぶらりんな気がしてしまうのです、いいのかなぁ……。

クラスメイトの話に戻ります。
「そっか・・・彼女ができたんだ、いつの間に?」と思っていたところ、しばらくして、「パートナーの写真送るね」とメールがきました。開けるとなんとラブラブで熱く見詰め合う男性二人。何の前触れもなかったので「えー!そうだったんだぁ」と驚いたものの「よかった。よかった」と素直に祝福させてもらったのでした。

身内で行われたお披露目パーティーには、相手のオランダ人男性の家族、友人、ご近所さんが集まり和やかそのもの。パートナーにはその場で初めてお目にかかりました。自然体だしハンサムで物腰の柔らかい素敵な彼。いい人とめぐり合ってよかったなぁと改めて友人に「心の底からおめでとう」と言うと「本当にそう思ってくれているの?」と思いがけない言葉が。彼の話では、日常的に差別はやはり存在し、誰しもが好意的な目をむけてくれるわけではないようなのです。一緒に歩いていたら侮蔑の言葉を投げかけられたり、からかわれたり。とりわけ彼の場合、母国の宗教がホモセクシュアルを禁じています。

彼は母子家庭で育ち一人息子だったので、母親とは絆が強いはず。それでもやはり何カ月も打ち明けることはできなかったと語っていました。外国に出たことのないお母さんが真実を知ったら卒倒してしまうと心配したのでしょうか。また場合によっては、彼の母親が超保守的な集団から攻撃の対象となることすら考えられます。ならば「知らぬが仏」というのもあり。でも一番理解してもらいたい人に嘘をつき続けるのはつらかったことでしょう。

そもそもヨーロッパならゲイに開放的というのはとんでもない誤解で、つい先日ポーランド発のニュースが話題をさらいました。BBC制作「テレタビー」という幼児番組の登場キャラ、ティンキーウィンキーが<男の子なのに赤いハンドバッグを腕にぶら下げているのは不適当、これを見て育った男児が将来ゲイになる可能性がある>と、子供の権利監視委員という政府の要職にある人が問題視し、心理学者に調査を依頼したのです。一体全体どうやったら、こんな無邪気なキャラがホモという発想になるのでしょう!? トホホ……
[赤いハンドバックを持つティンキーウィンキーの写真]

また某ラジオ局が『子供たちに悪影響をもたらす可能性があるキャラは?』とアンケートをとったところ「クマのプーさんには男友達しかいない」という回答が寄せられたのだとか。初めてこれらのニュースを聞いたとき大したジョークだと爆笑していたら、大真面目に社会問題としてとりあげられており少々カルチャーショックを受けました。一連の発言はさすがに欧州各国から失笑と批判を買い、当事者は無難に矛先をおさめたようですが、こうした騒ぎをみると本音と建前というのが世の中には存在し、何かの拍子にくすぶりが発火するような気がします。

でもさすがオランダ、国家レベルではなかなか進歩的なようです。たまたま目にした日本語のニュースですが、ホモセクシュアルが法律で禁じられている途上国の実態調査を実施し、マイノリティの人権を保護するのだそうです。(詳しくはこちらのHPを→[ゲイジャパンニュース])

聞くところによると、国によっては死刑が求刑されたりリンチが公然と執行されたりすることもあるらしく、決して自分がゲイと公表できるものではありません。そんなことから比べるとやはりオランダは天国なのでしょう。でも国家が先進的な施策を打ち出していても、アムステルダムのような国際都市や芸能界に生きているのではない普通の人たちにとって、日常はどうなのでしょうか? あるオランダ女性の言葉が心にひっかかっています。

「オランダは<寛容:Tolerance>の国として有名だけど、それは必ずしも<対象を受け入れている:Acceptance>という意味ではない」

次号に続きます。

▼テレタビーのHP
http://www.teletubbies-jp.com/


閑話休題、ここでオランダ発の不思議なビールをご紹介。昨年発売されたばかりで、まだ日本には上陸していない出来立てホヤホヤブランドです。その名は<iKi Beer>で、生ビールと書きます。ナマと読んではなりません。“生きる”のイキです。すごいですね、日本語って。漢字検定でちゃんと得点できるでしょうか?

元日本在住のオランダ人が、帰国後、試行錯誤を重ね開発したもので、煎茶とゆずがブレンドされています。なんでも、日本の寛ぎやゆとりをビールに取り込みたいと思い立ったそうです。初めて目についたのは多分、昨年暮れ頃だったでしょうか。正直「えー!? 怪しげ」というのが第一印象。おまけに<煎茶がボディに風味を添え、ゆずが清涼感を加えます>とボトルに表記されており「アイスクリームやお菓子じゃないんだから、私は遠慮しときまーす」とついためらってしまいました。

でもお店の人いわく「おいしいわよ。決して変な味ではないわよ」「ムム・・でも、あなたは日本人じゃないから、餡子をのりで巻いても<おいしい寿司>っていうかも」などと失礼なことを考えていたら、ちょうどそこへ初老の男性が店にはいってきて「iKiBeerを店にあるだけ全部くれ、数ケース必要だ。パーティーだ。うまいから買ってくるように皆から頼まれたんだ」と大声で叫んでいました。なんともタイムリーな出来事でしょ?

この経験に続き、幾度か周囲の人から好意的な評価を聞いたものの、まだ多分に懐疑的であった私でしたけれども、行き着けのカフェの尊敬するマスターが「うん。あれはいいビールだ」とお勧めしてくれるではありませんか。このカフェはベルギーやオランダ、ドイツの地ビールを150種ほども取り揃えていて、地元の人をはじめ、講義や会議で世界中からやってくる教授や研究者たちにも大人気のビール党のお店。マスターはワーゲニンゲン大学の生物学を修めた人でビールのことなら何でも答えてくれる、さながらソムリエといった人物。この人が保証してくれるのだから、味は確かです。

また6月には「ビアパブ同盟」の月間ビールに選ばれて、生(ドラフト)で提供されました。味わいはベルギーの白ビールのようで、確かにかすかに緑茶の香りがするような気がします。それもそのはず、この製品はベルギーのゲントにある地ビール醸造所で生産しているそうです。ベルギービールはこのところ日本でも大変なブームで、皆様もご存知のとおりその品質の高さは世界的にお墨付き。というわけでiKiは決して怪しげなブランドではなくビールにこだわりのあるオランダとベルギーの人々が開発に携わった、正統派のビールだったのです。甘くないレモンジュースみたいな味なので夏の午後、木陰でリラックスして飲むのにぴったり。さあて日本上陸はいつになるのでしょうか?


▼生(イキ)ビール:iKi Beer
http://www.ikibeer.com/

▼オランダの「ビアパブ同盟」のマップをGoogleで作成してみました。
ABT Biercafes in Nederland
「ビアパブ同盟」については以下ご参照。
http://dutchphotos.blogspot.com/2007/07/blog-post_8271.html



▼▼ 写真をクリックすると拡大できます ▼▼

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ある日Wageningenの商店街にカモが3匹登場。

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我が物顔で闊歩するカモ軍団に、さすがに多くの人が注目。

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怖いもの知らずのカモたち。何かおねだりし ているのでしょうか?

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「おっとっと。見かけない顔だな」坊やもびっくり。

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「いいな、いいな、その運転手つきのベビーフェラーリに僕たちも乗ってみたいなぁ」
「そうはいかないよーだ」

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これが、うわさのiKiビールです。 以後、お見知りおきを。(写真提供: iKi Beer)

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Arjen Hemelaar 氏。iKi Beerの創設者です。(写真提供: iKi Beer)





るりさんは、「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」というWEBサイトの運営者。世界最大産業である観光が、環境、社会、文化、経済に与える影響とはどんなものなのでしょう? 目からうろこですよ!
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*上記サイトは諸般の事情で更新しておりません。最新情報はブログ「ネットで学ぶ身近な観光学」をご覧ください。
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「カメラは踊る@オランダ」はガイドブックには載っていないオランダの写真を大量掲載したるりさんの写真ブログ。オランダに留学したい人やオランダに興味をもっている人はぜひ♪
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MARBLE468(マーブルヨーロッパ)
 http://marble468.com/


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