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東北の数少ない自然学校のひとつとして活動し、不登校の子たちの寄宿や山村留学、森のようちえんなど数々の取り組みを行ってきた「くりこま高原自然学校」が、6月14日(土)の岩手・宮城内陸地震で甚大な被害を受けました。以下の口座で支援基金を募っております。皆様のご協力をお願いします。
 
●取り扱い金融機関:「ゆうちょ銀行」
●口座名:くりこま高原自然学校支援基金
●口座番号:00870-0-134900
*支援金は、目安として一口1000円単位でお願いします。
*この支援金はくりこま高原自然学校への直接支援と耕英地区再建に向けた活動に対象を絞った支援カンパとして使われます。
*振込用紙の通信欄にメッセージを! くりこま高原自然学校のみなさんだけでなく、 避難所の方々にも励みになります。

被害状況を伝える佐々木豊志さんのブログはこちら
支援状況を伝える広瀬敏通さんのブログはこちら


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エコツーリズムで地域を元気にしよう!
地域で活躍する気になるメンバーの活動を紹介します。

森に出かける前に先生とお約束。「最後まで自分で歩くよ」森のようちえん トトロ組

 

宮城県は栗駒山の山中にある「くりこま高原自然学校」。ここではさまざまな自然体験プログラムが行ん」は世界的に知られる教育方法で、日本でも多くの教育機関が実践しています。くりこま高原自然学校ではどのわれていますが、なかでも人気なのが「森のようちえん」です。実はこの「森のようちえように行なわれているのか、校長の佐々木豊志さんに伺いました。

先生はプログラムを用意しない

 1960年代、デンマークのあるお母さんが自然の中で自分の子どもをのびのびと育てたいと始めたのが「森のようちえん」です。

 日本でも以前から幼児教育に自然体験を積極的に取り入れている事例は各地にありましたが、ヨーロッパではデンマークから始まり、90年代にドイツで広まると大きく発展しました。園舎ではなく、自然の中で子どもたちが自発的に遊び、学ぶことが目的ですが、「森」と言っても、日本の森とヨーロッパの森とは規模が違いますよね。

 だから日本では、いわゆる森だけじゃなく、海だったり、川の土手だったり、都市公園だったり、自然があるところならどこでもいい。また「ようちえん」と言っても日本で言ういわゆる「幼稚園」だけでなく、0〜7歳ぐらいまでの子どもたちが学ぶフィールド全般を指します。

「枯れ葉のじゅうたん、気持ちいいー」 森のようちえん トトロ組 くりこま高原自然学校では、この森のようちえんを2週間に1回程度、年間15回ぐらい開催しています。1回だけの参加も可能ですが、参加者の8〜9割の子どもは毎回参加しています。

 午前中の2時間弱、2つのクラスに分かれて森を歩きます。0〜3歳の乳幼児は「ネコバス組」で、お母さん、お父さんに抱っこされて、会話を楽しみながら散策します。3〜7歳ぐらいまでの子は原則として、子どもだけです。

 親がいるとついつい手を出してしまったり、子どもは親の目を気にしたりして自由な発想が生まれなくなってしまうんです。先生はプログラムを用意しません。子どもたちは森の中で植物や昆虫を見つけて触ったり、枯葉のじゅうたんに埋もれたり、つるでブランコ作ったり、木に登って揺らして遊んだり、自分で遊びを見つけて、泥だらけになって、思い思いに楽しみます。

一番変わるのは、親の意識

 森から戻ると、子どもたちは「自分達の力でできた!」と自信を持つようになるのはもちろん、日常的に外で遊びたがるようになったり、家の近所の身近な自然にも目を向けるようになったという反響があります。

「子育てカフェ」は子育てについて話し合う機会ができて嬉しいと好評。 しかし、「森のようちえん」を開催してきて感じるのは、実は親御さんの意識が一番変わるのではないかということです。

 トトロ組は子どもだけが基本ですが、初めての参加の場合など、心配だからと付いてきたり、陰からのぞいていたりする親御さんもいます。

 でもみるみるうちに、子どもが自分の力だけでこんなに色々なことができるんだ、今まで手をかけすぎていたんだと気づくんですね。我慢して手を出さずに子どもを見守れるようになっていくんです。

 核家族化が進んで親が自分達だけで子どもに向き合っていると、不安になったり、過保護になったり、時には煮詰まってしまう。そんな親御さんのために子育てのヒントや情報を提供する「子育て学習会」や、お茶をしながら自然の素材を使ってモノ作りをする「子育てカフェ」も開催しています。

幼児期の経験が発育過程で最も重要

雨だって気にしない。子どもたちはみるみるたくましくなっていきます。 私はくりこま高原自然学校に寄宿や山村留学制度を設けるなどして、不登校、引きこもり、ニートの問題にも取り組んできました。

 その中で気づいたのが、そういった寄宿生達は、幼児期にあまり良い体験をして来なかったことが多いということです。実際、脳科学の見地からいっても、幼児期は脳の発達に最も重要です。

 だからこそ、発育・発達過程で最も大事な幼児期に「森のようちえん」を通して自立心や創造力を養えたらと考えています。自分で考えて、悩んで、とにかくやってみる。失敗することがあっても、親は手を出さない。そうした経験が自信につながり、自立につながる。自立こそ、教育の最終ゴールだと思います。

 その環境として森は最適なんです。既製のおもちゃは遊び方が決められていて限られますよね。でも森は違う。自分の工夫次第でいくらでも楽しめるんです。だから私はいつも「森は楽しみが無限に広がるおもちゃ箱」だって言っているんです。

地元の方にもっと広めたい

 森のようちえんの全国交流フォーラムを2005年から毎年開催しています。栗駒で開催された初回は参加者が80人程度でしたが、年々増え、昨年代々木で開催した際には300人も集まりました。全国で着実に根付いてきているのを感じます。

木の中には、なにがいるのかな?  森のようちえんの参加者のほとんどは、以前は都市部の人でしたが、だんだんと地元の方も増えました。周りに自然があるのに、なんでわざわざ山の中に出かけなくちゃいけないのと思われていたみたいですが、一度参加されると気に入られて、口こみで地元にも輪が広がり始めました。

 今後は、この輪を全国レベルで広げていくことにくわえて、地元の人達にもっと知ってもらえるようにしたいですね。

 


佐々木豊志さん

1995年4月自分流自然学校開設のため独立。「くりこま高原自然学校」主宰。
筑波大学で野外運動を学び、国内外のキャンプの指導、運営にあたる。自然と人情豊な東北で生まれ育ち、たくさんの自然体験を通じて成長。少年時代の深い自然体験と学生時代に学んだ野外教育から「いつか東北に帰って自分流の自然体験の場を提供しよう」と決意。1996年東京での生活にピリオドを打ち家族と共に東北に帰る。 東北のど真ん中、栗駒山のブナの原生林に囲まれて、若いスタッフと寄宿生と共に生活を創造しながら、自然と共存する生き方を実践。人間がコントロールできない自然から享受するたくさんの本物の豊かさに感謝して活動し、多くの方と自然体験活動を通して未来に向けてあるべき生き方を考えたいと日々思う。

くりこま高原自然学校 校長 佐々木豊志さん